ガチ漫画初心者が、10作描いてマンガでデビューするための方法(リアル)

14年間漫画家志望者と一緒に短編漫画を作り続けてきた私が本気を見せます。なんて。見てね♡

2作目 8ページ漫画を思いきり描こう!! ①

こんにちは。いるかMBAの田中裕久です。

今日は涼しいですね。みなさんは風邪などひかずにここ地球で楽しい人生をお送りでしょうか?

私の方は、今日はなんだかテンションが高めで楽しく人生を送っています。私の人生の目標は、全てのことから自由になること。それは、最終的には棺桶に入って焼かれる瞬間なのですが。

 

さて、みなさん、渾身の2ページ漫画は描かれましたか?

まだな人は、このコラムを読んでいただいてもよいのですが、まずは作品を完成させちゃうことをお勧めします。習うより、慣れろ、です。

第一回めにも書きましたが、人間は、口ではいくらでも言えます。「アフタヌーン 四季賞取ります!!」素晴らしいと思いますが、私の経験だと、四季賞を本当に取る人は、そんなのわざわざ人に伝えないで筆を動かします。みなさんがんばってくださいね。

 

①8ページ漫画は奥が深い/これが出来たらプロ!!

 

以前、とても有名な少年漫画の先生にお会いする機会があり、私たちは8ページ漫画を描いているんですとお伝えした機会があったのですが、その時のその先生の第一声は、「君たち、とんでもなく難しいことしてるねぇ」でした。その先生はこれまで何百回の締め切りを経験していますから、物理的に8ページ漫画を描くのが難しいと言っているのではありません。たった8ページの中で、読者を楽しませ、それでいてちゃんとその作家性を出すのが難しいと仰っているのだと理解しました。

 

8ページ漫画の創作経験は、私はとても多いです。というのが、コミティアさんと組んで、中野アートコートで数年間「漫研コミュ」というのをやっていたのですが、そこのコンセプトが、3ヵ月に1本の8ページ漫画を描き、それで合同誌を作ろうというものでした。30名ぐらいの生徒のみなさんが一斉に8ページの企画作りからストーリー作りをするわけです。

 

②8ページは起承転結では作らない方がよい

 

長いこと「漫研コミュ」の生徒さんの8ページ漫画を見ていて感じたのは、たった8ページだと、いわゆる「起承転結」で物語をまとめるよりも、ワンシーンをたっぷり描き、最後にちょっとしたオチを付ける方が良い作品が多かったという点です。

 

これは「漫研コミュ」と離れるのですが、森薫さんの短編集に「昔買った水着」という魁作があります。8ページ漫画を描く方は、ぜひお買い求めください。

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すごいっすよ。物語は、とても色っぽい人妻(顔は見えない)が、タンスの奥から昔買った水着を見つけるところから始まります。で、結局その人妻が水着を着るだけの話なのですが、もうエロい。その辺のエロ本より全然エロくて色気があります。

何故、森薫さんのこの作品がこんなにも素晴らしいのか。それは、説明をする要素を極端に少なくしているからです。

イントロ、色っぽい人妻が昔買った、少し派手な水着をタンスから見つけます。いわゆる5W1Hでいうと、ほとんど何の説明もなく、背景だけでわかるようになっています。そして、物語はストーリー性を帯びないまま進み、その人妻が水着を着るシーンを大ゴマで描いて終わります。

はっきり言って、起承転結はありません。言うならば、起・結です。

ただ、8ページ漫画だとこの方がスペースが取れますし、伝えたい面白さが伝わる確率が上がります。

 

③逆に起承転結をがっつり描くと

 

以前、漫研コミュの生徒さんで、主人公の女剣士が壮絶な敵との戦いに勝ち、王冠を自分の主君である王妃に届けるという8ページ漫画を描いてくれた生徒さんがいました。構成の段階で私も気づけばよかったのですが、8ページでバトルシーンもあり、王宮に戻るシーンもあり、シーンてんこ盛りで結局40ページ漫画のダイジェスト版みたいになってしまいました。これでは、もったいないです。私が出した代案は、戦闘シーンなどは全てカットで、一番描きたい、女剣士がひざまずいて王妃に王冠を渡すシーンだけを描くとどうかというものでした。その前に、壮絶なバトルがあったことは、女剣士の血まみれの恰好や、ぐにゃぐにゃに折れ曲がった剣、場合によっては腰に下げている首などで表現できると思うのです。

 

④短編漫画で長編漫画に対抗するには

 

これを私たちは覚えましょう。短編漫画は、これからページ数を伸ばしてはいきますが、どこまで行っても短編漫画です。「スラムダンク」31巻には物語の分量で言えばかなわないのです。なので、工夫をして、構成などで読者が短いページしか読んでいないのに沢山の情報を得た、「この話の続きが読みたい!」と思わせるのがポイントです。「聲の形」など、いくつかの短編漫画はこれに成功しています。「ワンピース」の第一話だってそうです。作品の奥には、まだ見えていないけれど何かがある。それが知りたい!読者にこう思わせるのが短編漫画の名手です。そのためには、当たり前ですが作者自身がちゃんと短編漫画の奥に、今回のストーリーでは説明できないけれどもきちんとした世界観だったり、ストーリーやキャラクターを持ってなくてはなりません。それは8ページ漫画でも、です。

8ページ漫画の実際の作り方は次回やりますが、まずはこの部分についてみなさんと認識をシェアしておきたいです。

 

⑤あと、とても現実的な問題として8ページ漫画は雑誌に載りやすいです。

現実的な話をすると、私たちが58ページの漫画を描いて編集部に持って行っても、よっぽどのクオリティの作品でない限りは作品が雑誌に載ることはありません。しかし、8ページ漫画ぐらいならば、誌面の間に入れていただくことも可能性が上がります。私たちは、まず8ページ職人になるべきです。それには、繰り返しますが、物語・ストーリーの説明をしないこと。ワンシーン・ワンシチュエーションで起承転結を描くのではなく、起・結をまとめることだと思います。ちょっと気の利いた設定で、結が秀逸だと、それはすぐに面白い8ページ漫画になります。持ち込みをする際にも、8ページ漫画を4本・5本とまとめて持ち込むと、先方も読みやすいかもしれません。

 

⑥まとめ

 

という訳で、おじさんは今日も短編漫画について考えています。そして、考えれば考えるほど8ページ漫画ってよいなぁと思います。みなさん2ページが終わった後は、ぜひ8ページ漫画を描きましょう。

みなさんの健闘を心から祈っています。