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ガチ漫画初心者が、10作描いてマンガでデビューするための方法(リアル)

14年間漫画家志望者と一緒に短編漫画を作り続けてきた私が本気を見せます。なんて。見てね♡

5作目 32ページ漫画を本気でがっつり描こう②

おはようございます。みなさんはお目覚めのよい月曜日の朝をお迎えでしょうか?私の方は月末に教室の引っ越しを控えているので昨日も一日力仕事でした。しかし、たまにこんな風に体を動かすのもよいななんて考えています。

 

①人間の絵になる所作について

前回、「起承転結」のうちで承が大切だというお話をしました。理由は読者に感情移入をしてもらうためなのですが、今日はその続きで、イントロから中盤にかけて入ってくる「見せゴマ」「見せ絵」「見せシーン」って大事じゃない? というお話をします。

 

人間には不思議ですが絵になる所作というものがあります。代表的なのは「タバコを吸う」所作です。21世紀は嫌煙ブームですのでリアル世界ではタバコはすっかり嫌われていますが、20世紀の映画・アニメ・テレビドラマ・マンガでは、実に多くの主人公がタバコを吸うシーンが描かれています。松田優作の「探偵物語」とか、宮崎駿の「カリオストロの城」とか、もうタバコ三昧ですね。名画「スモーク」というそのものずばりタバコ屋をめぐるオムニバス映画なんてものもありました。

それは、何故だかわからないけれども、タバコを吸うシーンというのがかっこよく見えるからなのです。

このコラムを読んでくださっている方の中で、過去の投稿作で主人公が、あるいはヒロインがタバコをかっこよく吸うシーンを描いた事がある方はいますかね? おそらく、いないんじゃないかと思います。

実は、これがプロと素人の一番の違いじゃないかな、と思うのです。

 

②プロの原稿は「魅せる」シーンが多い。

一番わかりやすい例は宮崎駿だと思うのですが、「カリオストロの城」のイントロ、ルパンとクラリスが出会う場面にあのカーチェースは必要でしょうか? 2人が出会うだけならば、喫茶店でコーヒーをこぼしちゃって、みたいなエピソードでも良いわけです。けれど、駿は全力でカーチェースを描きます。そしてスピルバーグは「映画史上一番素敵なカーチェースカリオストロのイントロのシーンだ」と言います。

宮崎駿は知っているのです。カーチェースが(人間が乗り物を上手に乗りこなすのが)絵になるシーンだということを。そして更に言うならば、それをフルフルで演出することでイントロで読者の感情移入を誘えることを。

私たち漫画家志望者の短編漫画に駿と同じカーチェースを求めるのは酷な気がします。が、私はみなさんにそれぐらいの気構えで原稿に取り組んでほしいのです。

絵になる所作、色々ありますよ。背の高い男がのれんをくぐるところ。回し蹴りが決まるところ、帽子から鳩を出すところ、弓矢を引くところ。

みなさんの原稿にそんな「魅せシーン」ありますか?

プロの漫画家の原稿には、直接ストーリーと関係なくても、そういうかっこよいシーンやセクシーなシーンで読者を魅了する場面が多々あります。納得できない人は、「落語心中」を見てください。男性のセクシーな所作のオンパレードですから。

 

③「この場面いりますかねぇ?」「これなんで風呂屋なの?」という編集の意地悪質問は全ツッパしよう

編集者は、そして私も、駿みたいな勢いのある原稿じゃないと、つい上記のような意地悪質問をしてしまいます。「ねぇ、これヌンチャク持ってるけど必要ないよね? これ鎖がまでも大丈夫だよね?」と。

しかし、例えば宮崎駿の「千と千尋」に対して「これなんで風呂屋が舞台なの?」と聴く人はいない。それは駿が圧倒的なスケールと画力で読者を圧倒し、こちらがそんな疑問を持つ隙がないほど面白いシーンを連発するからです。

なので、編集者に上記の意地悪質問をされたら、「自分の原稿には力がなかった」と思いましょう。しかし、代える必要はありません。「何故なの?」に対しては「それを描きたかったから」でよろしい。実際に、読者がほれぼれするような回し蹴りが描ければ、新人賞ぐらい取れますよ。実際に私の教え子で、ストーリーを一切なくし、ただ女子高生2人が戦い合うだけの話を描いた生徒がいましたが、ヤングアニマルグランドスラム賞を取りました。イントロから中盤にかけて、絵になる所作、絵になる演出が多いからです。

 

④編集者はオール3の原稿を求めていない。どこかで特化した作品を

これは本当に多くの編集者の方が言います。「私たちは5点満点中オール3点の原稿は求めていません」と。新人なのだから多少ストーリーに難があっても、多少キャラクターの感情線が変でも、よいのです。今後鍛えて直そうと思いますから。それよりも、どこでもよいので、5点満点中6点とか7点とか、破格のスケールで良い場面がある。良いシーンがある。そんな原稿を編集者は新人に求めているのです。

例えばボーイズラブティーンズラブだったら、それは「男の子のセクシーさ」でしょう。ストーリーは編集者でも考えられます。しかし、実際の画面で男の子のセクシーさを描くのは漫画家さんです。それが最初から出来ている新人や漫画家志望者は、やはり商品価値があるのです。編集者さんたちは、「お金の匂いがする」という表現も良く使います。将来大化けしそうな予感。これが私たちに求められていることです。

話を基に戻すと、私たちはイントロから中盤にかけてそういう見せゴマ・見せシーンを多用し、具体的な数で言うと作品で5枚は見せゴマを入れ、読者・編集者を魅了すべきです。

 

⑤それが、感情移入に繋がる

そして実は、それが読者の感情移入に繋がるのです。短編漫画の中で中盤が最も大事なことは既に述べました。そして、何故かというと中盤で読者が感情移入をするからだという話も既にしました。では具体的に何で感情移入をさせるかというと、中盤の絵になるシーンです。かっこよい・セクシーなシーンです。私たちは漫画家なので、それはほとんどの場合「絵」で表現されるでしょう。絵の練習、ぜひしてくださいね。それは魅せる絵です。

ちなみに、以下は以前生徒たちにアンケートで集めた「絵になるシーン」です。よかったら全部絵やシーンにしてみてください。

・ 大量の汗をかく(アクション)
・ タオルで汗をふく
・ ゴールした後に膝に手を当てながら、しずくがたてる
・ 二丁拳銃
・ 右手と左手で違うことをする(器用さをみせる)
・ 流血(血が目にはいって見えない、蚊をつぶす)
・ 服がボロボロ
・ パッとハエを捕まえる(おばちゃん、おばあちゃん)
・ さいばしでハエを取る(香港映画とか)
・ 酔拳
・ 鳩を蹴る
・ 美容師(髪の毛切る、頭を洗う)
・ バリカンで刈る
・ ぶっ倒れる(後ろ向き?、笑いながら倒れる、意識はあるけどパワーはつきた)
・ くしゃみ(花粉症の彼。目が真っ赤)
・ 目が潤む
・ マッサージ(される、する)タイ古式マッサージ
・ プロレス技(かける、かけられる)
・ ダンス(ボールルームへようこそSOLA)
・ 女の子が白目
・ ひげをそる
・ 女の人守りながら戦う
・ コンサバ系、スーツの人が頭をかく(だるい感じ)
・ 筋肉痛(筋肉通の部分を攻撃する)→ ( 彼が自分の身を犠牲にして、翌日筋
肉痛、そこをいじめて楽しむ )
・ 二日酔い(弱っているところ)
・ 弱っているところ → ( 笑い泣き、帰宅ラッシュ、満員電車、はみ出ている肉
をつまむ )
・ 花束をあげる(プチブーケ)
・ ペットをなでる
・ 耳かき(やってもらう、やってあげる)
・ 蛇口から水を飲む(ラッパ飲み)
・ メガネを投げ捨てる
・ ワインを片手で注ぐ(スープとフォークで挟んで取り分ける)
・ プールから勢いよくあがる
・ 着物のたすきをあげる(片方を口にくわえて)
・ 血まみれで将棋をうつ
・ 改札を颯爽と通る(改札でいつもひっかかる)
・ 動物を呼び寄せる
・ 数学の問題を解く
・ 靴を飛ばして片足で取りに行く
・ プールで2人に守られている(女の子がガードされている)
・ タオルを頭からかぶって汗をかいている
・ 懐中時計を手にする
・ 電車の中でニヤニヤさせる

⑥まとめ
と言う訳で、今日は朝から熱く語ってしまいましたが、みなさんが5作目を描き終え、6作、7作と描き続けるうえで、今日の話は必ず役に立つはずです。覚えていてくださいね。